マジック上達の秘訣 マジックの館

目次

1.マジック(サーストン)三原則(初心者必修)

 1. タネあかしをしない

 2. 経過を説明しない

 3. 同じ手品を繰り返さない

2.手品を上手に見せるための方法論

 1. ミスディレクション(観客の意識の誘導法)

 2. マジックはタネよりも見せ方が大事

 3. 練習方法(鏡の前で100回練習しても本番で失敗することは良くあります。)

 4. 舞台演技前に再確認(これで完璧と思っても思わぬ落とし穴が・・・)

 5. Mr.マリックの四大失敗に学ぶこと 追加
  (客のものを壊したり、客に怪我をさせては最低のマジックになってしまいます)

 6.笑顔の重要性 追加

3.良い手品とは観客が楽しむことができる(相手の心に響く)手品である。


マジックの三原則(サーストンの三原則)

1. タネあかしをしない。

 タネあかしをすることはせっかく大きく膨らませた風船(夢)を自らはざすようなものです。お客さんは必ずタネあかしを要求してきますが、原則的にタネあかしをして、演じる側にとっても、また見る側にとっても良いことはありません。

 タネあかしをしたとしましょう。客はな〜んだと思うでしょう。またさらにこんな簡単なタネにだまされたと悔しがるかもしれません。またタネを知ったとしても、練習せずにすぐその手品ができるわけではなく、結局タネあかしをしたことで、その客は一生その手品を楽しむことができなくなってしまうのです。また、そのことによって他の手品師はその手品を、その客に対して見せることができなくなってしまうわけです。

 つまり一つの手品を演じると言うことは、もうあなたもマジシャンなのです。そしてあなたは他の手品師、つまり、今までその秘密を守ってきた過去の手品師から、現在活躍中の手品師に対して責任を負うということにもなるのです。

2. これから行う手品の経過を説明しない。

 ここで想像してみましょう。マジシャンは空中に手をかざし突然、指先にバラの花をつかみました。客はこの意外性というものに一段と驚きを大きくします。もしここで「これからバラの花を出します。」といって空中に手をかざしバラの花をつかんだとしましょう。全く同じ演技でも、この一言のために先ほどの現象と客の反応はだいぶ劣るはずです。このように、マジックにおいて意外性というものが重要な役割の一つをになっているのです。

3. 同じ手品を繰り返さない。

 一つ手品をやると客は「もう一度見せて」といいます。ここでこの要求に応えてしまうと、先に述べたように客はこの手品の経過は既に分かっているわけで、驚きも半分以下、おまけに今度はどこを見ていればよいか分かるので、タネもばれやすく、結局タネあかしをするようなものなのです。


手品を上手に見せるための方法

1. ミスディレクション

 手品師がいくら素早い手さばきでタネの部分を行っても、それを直視する客の視線にはかないません。客に直視されたのでは、マジックのタネも半分は見破られるのではないでしょうか。マジシャンは巧みに客の意識を誘導します。右手に客の意識を集中させ、左手でタネを取るのです。これをミスディレクションといいます。客はおもしろいことに手品師の視線を追います。授業中、先生が横の壁にかかる時計を見ると生徒もみんな横を向いて時計を見るようなものです。つまり、先ほどの例のように、客の意識を右手に集中させて左手でタネを取りたいようなときには、自分の視線を右手に、できれば自分の意識も右手に集中させて、左手で動作を行うのです。いくら右手を見ていても、左手に意識がいくと、表情などから客はすぐに左手に注目していまいます。ここをうまくやるためには何度も何度も練習が必要なのです。

2. マジックはタネよりも見せ方が大切

 台本の台詞を完璧に覚えただけでは良い演劇ができないのと同じで、タネを完璧にマスターしても、良いマジックにはなりません。簡単なマジックでも見せ方によって大きく変わってきます。タネはもちろん完璧にマスターしなくてはなりませんが、それ以上に、見せ方の研究に時間を費やすべきです。アマチュアはタネをマスターして、安心しがちですが、プロは見せ方を徹底的に研究しています。そして、その違いは、実際観客を前にした時、実感されるものです。

3. 鏡の前での練習だけで十分なのか

 手品を一つ覚えるにはまず一通りの手順を本など読みながらマスターします。やり方を一通り覚えたら次に、自分の手の内でやっているだけでは客が見る方向と、自分が手を見る方向では角度が異なり良い練習にはなりませんので、鏡の前で何度も何度も練習します。

 しかし実際演技してみると、うまくいかないことが多いのです。鏡の前で完璧に練習したつもりでも、鏡を通して自分の手元に視線を集中して練習しているので、本番で目のやり場に困ったりするものなのです。ステージでやるなら、最後には何度か鏡をはずして、鏡があってもいいからあまり鏡を意識せず、前にお客がいるのを想像して、遠くを、大きく見て演技をする必要があるのです。

 次の段階としては、家族や友達に見てもらって本番さながらの練習をします。人がいるとまた反応があるので一人でやっているときとはだいぶ異なるものです。

 このように完璧を期したつもりでも、どうしても本番で失敗してしまうことがあります。しかし、このような失敗を繰り返し、場数を踏む中でだんだん上達していくのです。結局場数を踏まないとなかなか上達しないことは確かだと思います。

 ただ、プロになると失敗が許されません。しかし手品に失敗は付き物です。失敗をも失敗と見せないような対処方法をマスターしていることがプロには要求されているのです。

4.舞台での演技前に再確認

 ある時、ホテルでの結婚式の二次会でマジックを頼まれました。当日前には見にいけないので、事前に幹事から会場の設定を事細かに聞いておきました。さて当日いってみると、なんと、僕が演技するすぐ後ろに巨大な鏡がありました。これでは、いくら角度に強いものを持ってきてもタネがばれてしまいます。

 こういった経験から、できる限り事前に会場をみるように心がけています。

 もう一つは、幼稚園の夏祭りか何かで、屋外でのマジックを頼まれた時のことです。夕方でしたが、照明がなくて暗く、さらにラジカセも十分音が大きくならず、今ひとつみんなの注目があつまりませんでした。それから自分用に小さなスポットライトと迫力ある音の出るラジカセを用意して持ち歩くようにしています。屋外では、よほど大きな音でも、まわりへ散ってしまい、聞こえにくいものです。また、屋外では風があり、室内と違って以外にやりにくいものです。

 また、観客がどういう人たちかというのも重要な要素です。男性ばかりの知識人の集まりのようなところでやった時は、タネはどうなっているのだろうと疑うばかりで、歓声も拍手もまばらで、こちらも気が抜けてしまうようなことがありました。そういう場所では、頼まれたら、できるだけ短く、簡単にやるようにしています。逆に、若い女性が多いと、悲鳴のような声で驚いてくれる人がいて、不思議さがさらにますというものです。小さな子供が多い場合は、かまわず、見えていなくても「見えた」とか「それ知っている」などと声があがるものですが、ひるまずやる必要があります。また幼稚園児などでは、母親や先生がしっかりついていないと、演技中にでてきたり、終わった後に一斉に集まってきてポケットや袋をあさられたりと、収拾がつかなくなることもありました。

 どういう会場か、どういう人を対象に演技をするのか。事細かに考えた上でプログラムを組んでいく必要があります。

5. Mr.マリックの四大失敗に学ぶこと

 2004年夏に、Mr.マリックの四大失敗というのをテレビでやっていました。最初は何だろうと、あまり興味もありませんでしたが、見ていたら、これはマジックをやるものなら誰にでもあり得ることですし、たくさん演技をこなしているマリックならではの貴重な経験ですので、マジックをやる皆さんにも再度認識しておいてほしいと思い、書き留めました。結局は、自分のため、客のため、そして、誰もが楽しめるマジックのために、十分注意したいポイントだと思います。

一つの失敗は、相手に指輪を借りて、それを手の中で消し、別の場所から現すというものですが、指輪が出てきたのですが、指輪についていた宝石がはずれていて、結局見つからず弁償したというものです。お金で解決すればまだよいですが、記念の品で、替わりがないものもありますので、こういった大切なものは、借りてマジックをするべきではないなと思います。僕自身も、相手からコインやお金くらいは借りますが、この番組を見る以前から、怖いので指輪は借りたことがありません。実は、同じ指輪を消す道具は10年くらい前に買いましたが結局一度も人前ではやっていません。

 もう一つは、鍵を手の中で曲げるマジックで、客がむきになって、絶対曲がらない頑丈な車の鍵を差し出し、マリックもむきになってやったら、鍵が曲がるどころか、割れてしまったというものです。これも弁償したということです。やはり、人のものを借りるのは怖いですね。もちろん、僕自身も客の鍵を使おうとは思いません。

 もう一つは、自分の手に長い針を刺してみせ、血まででるのだけれど、タオルで一拭きすると、傷一つないというマジックでの事件です。これは、血が出たところで、婦人が卒倒してしまったというものです。幸い、しばらくして、意識が戻ったようですが、いくら不思議なものでも、やはり、あまりにもグロテスクなものは避けた方がよいですね。実はこれ、以前僕も持っていましたが、結局一度も人前では見せませんでした。

 同じような意味で、幼稚園や小学校など、小さな子供に見せるマジックでは、まねする可能性があるので、十分注意して演技をくむ必要があると思います。

 また、マジックには火を使うマジックから、ナイフなど危険なものを扱うマジックもありますので十分注意が必要です。いくら慣れていても万が一と言うこともありますので、火を使うなら水を用意したり、燃えやすいものは置かないなどの注意が必要です。マジックをやって、火事にしてしまったではしゃれになりません。

 自分が怪我する分には自己責任ですが、観客は楽しむためにマジックを見ているので、万が一にも、相手に怪我をさせたり、大事なものを壊したりすることのないよう、十分な準備、計画をお願いします。

 プロが、慎重を期して、再三練習して、火を使ったり、相手の指輪を借りてマジックをやるのは構いませんが、初心者や、アマチュアマジシャンは、安易にこういったマジックに手を出さない方がよいでしょう。

6.笑顔の重要性

 意外に重要なのが笑顔です。初心者に多く見られることですが、本番でマジックを失敗せずにやることに集中し過ぎて、緊張し、顔がこわばり、結局、演技全体が重い雰囲気になって、見ている方もはらはらして、心から楽しめないと言うことがあります。まず練習して、技術を身につけたら、次に鏡を見ながら笑顔の練習です。きれいなつくり笑顔ができると言うことは意外に大事で、もちろん日常生活でも大事なことです。マジックの練習だけでなく、鏡を見るたびにきれいな笑顔を作る練習をしましょう。マジックの見せ場、見せ場でつくる笑顔に、自然と大きな拍手が浴びせられるはずです。難しいマジックにわざわざチャレンジしなくても、笑顔をはじめとした演出に力を入れた方が、全体としてはまとまった良い演技になるはずです。


良いマジックとは

 やはり良いマジックというのは見ているお客さんが喜んでくれるマジックだと思います。お客さんに喜んでもらうにはただ騙すのではなく、心地よく騙さなくてななりません。結局客も、マジシャンに心地よく騙されることを期待しているのです。それに以下のようなことが必要かと思います。

  1. 客に一切被害がなく客は安心してみていられる。お年寄りから子供まで年齢に関係なく楽しめる共通の娯楽であることはマジックの一つの強みです。
  2. お手伝いしてもらったら自分に拍手をもらって終わるのではなく、必ずお客さんをたてることを忘れない。
  3. 自分を落とす。つまり、自分がぼけたり、自分も一緒にそのネタに驚くことで、自分だけが優位に立たない。自分だけ格好良く終わらない。
  4. ユーモアのセンスを取り入れる。

 気難しい顔をして超能力のまねをしても、自分は特別な能力があるすごい人であることを見せびらかして終わってしまったのでは、見ている方もそれが本当の超能力ならまだしも、マジックと見え見えの超能力では納得がいかないのではないでしょうか。特別な場合としてMr.マリックさんは、そのあたりを独特の雰囲気を持つ自分の個性と、周りの芸能人などの助け、テレビの効果を巧みに使ってクリアしているのかと思います。一般にはおすすめできない演技の形態かと思います。

 また、マジックをやる側としては、四ツ玉、シンブル、カードマニュピレーションなど指先を使った素早い高等技術(スライドハンドマジック)を練習したくなるもので、これは一日やそこら練習しただけでできるものではなく、数ヶ月、ものによっては数年かかり、その分、達成感もあり、マジックの醍醐味の一つであります。ただ、こればかりを偏重すると、見ている側は器用な人だ、とても自分にはまねできない、すごいと感心し、結局、自分の指先の器用さを他人に披露して終わるようでは本当に楽しいマジックと言えないのではないでしょうか。

 「良いマジックとは見る相手の心に響くマジック、簡単に言えば相手が楽しむことのできるマジック」であると思います。

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